人生100年シフトということで、長生きリスクについての以下の本を読みました。
それで、人生100年時代の健康とお金というテーマなのですが、読み終わってから、1本筋の通った読後感としては
あっ、これは人生後半の、インディペンデントな生き方ガイド、なんだなーということでした
これとか
これとか
の流れを汲んでいろいろ考えたことをまとめてみます
その1 お金に対して中長期的にインディペンデントになる
結局、使えるお金に縛られる形で、参加が制限されるという例がたくさん出てきます
ゴルフの話がたくさんでてきますが、やりたいことをやるというよりは、持っているお金に合わせて、生活の質がダウンシフトしていくという例です
生き甲斐の喪失や、人間関係の維持が困難になったり、活動制限のリスクが顕在化してきます
その2 将来を予測可能なものにする
インディペンデントな生き方という中に、健康という軸が入ってきますが、
・病気の予防
・活動性の維持
という大きな二つのポイントがあって、食事と運動によって、糖尿病のような病気を予防しながら、筋肉量をつけて、なるべく施設や介護のサポートを受けずに済むような人生計画を立てるということ
また、介護や福祉が必要になった時でも、その選択肢を広げるために、きちんとお金を準備していたり、プロフェッショナルに力を借りながらも、自立した生活を生きるにはどうするかを、予め考えておく
といった、人生後半におけるインディペンデントな生き方についても、テーマになっています
行動経済学では時間割引率、といったコンセプトでも説明されていますが
活動性と社会参加の健康の役割の重要性や、少し専門的な用語で、私なりに言い換えると
予防行動に対する準備性をいかに高めるか
まさしくこのレディネスと言われる、考え方と行動のフレームワーク自体が、健康の時間割引率を引き下げる鍵になる
といったキーメッセージが本書にはふんだんに散りばめられています。
その3 死生観
お母様を大腸がんで亡くされた経験から、その死生観、出会ったり、ロールモデルについての考察があります
エッセイ風ではありますが、死というものを恐怖や避けるものとしての対象ではなく、いかに中立的論理的に考え、さまざまな人とのつながりを基盤に前向きに意味付けを与え、そして、選んだ人に、より幸せな人は何か考えるきっかけを提供している部分があります
end of place理論、QOEOL(quality of end of life)といった、医療や福祉の人だと馴染みの深いコンセプトと似てると思われた方もいるかもしれません
・自律的に
・今後の成長を視野に
・人生の最後まで
自分なりに意味づけを与え、調和させていくといった生き方そのもについての考えるヒントになると思います
結局、環境や、持っているお金などの制約条件というものがありますので、きちんと自分が納得した上で、事前に、自分の人生を決めることができる
それを、インディペンデントな生き方として実践されてきた著者らしい、あたたかなメッセージがそこに込められていると思いました
人生100年時代というのは、専門家がいるようでいて、基本的には未知の領域ですから、考え様によってはその専門家はいないとも言えるし、自分自身が自分の人生の専門家になるということになりますから
この、ロールモデルがいない状況の中でいかにインディペンデントに生きるかという、一貫したテーマが新しい切り口で軽やかに書かれています
この軽さというのは、必ずしも中身が軽いという意味ではなくて、
離婚であったり、職業選択の失敗だったり、時代的な不遇によって重荷を背負った人が世の中にはたくさんいると思うのですが
その気持ちだけでなく、経済的な負荷であったり、健康面での重りをたくさん背負った状態を軽やかにしてくれるという意味で
共感をベースにしたしなやかな軽さも楽しめる本になっていると思います