Q&Aという作品を読みました
詳しい感想については、amazonレビューの方に書きましたので承認されましたらお知らせいたします
作品自体はある1人の死をめぐって回想のような形で展開していきます
残された日記
殺人事件に関わった刑事の対話
そして、主人公の内省的な語り
重層的な構造になっていますが
貧困や、孤独、精神世界と犯罪
様々なトラウマとそこからの解消、リカバリー
レジリエンスの謎など
小説には淡々と事実が述べられ、その時の主人公や周りの達の心象風景が描かれている
例えばそれが修道院に預けられた生い立ちであったり
一枚の絵を巡って感じる違和感に関するものであったり
世の中が不条理溢れている世の中と自分の関係を一体化させることによって、自分の生を終わらせることに積極的な意味をもたらすようなある意味、倒錯と逃避について主人公に、自分自身は9でなくQだと語らせる場面などがあります
余談ですが、Qは0のような円環から少し抜け出すような自分のあり方に積極的な意味を見出すといった記号的な意味があります
世の中では多様性という形でもしくは1人1人のためになどという言葉が1人歩きしていますが
むしろ、実感としては逸脱や倒錯といった形で、それをどのように肯定するかというような試みのように見えます
権力に対するアンチテーゼというのは、小説の大きなテーマですけれどもむしろ権力構造に擬態するような形でそこを内部から崩壊させてしまうような新しい形の表現を取られた小説だという風に思います
幻冬舎は、日本書紀からQ&Aまで、さまざまな作品が取り揃えられていて面白い出版社だなぁと思いました
一つ一つのテーマも奥深いのですが
その小説のあり方自体も斬新で私達が、小説とは何かということを感じさせるのに十分な作品でした
小説と言われるものの多くが物語でありどこかで見たような構造に安心感を得るものなんですがこの作品はどこかで見たような構造が出た時には逆にさまざまな謎が延命されていてしまうというような不安感に包まれることがあります
読むのに抑圧されている私達がその無意識に抑圧されている理由やシステムについて意識しながらでないと中身を理解できない
私達の実存を脅かすような、そうしたサスペンスがあります
この作者の方は若いですが令和の三島由紀夫と呼ばれることになると思いますし
今までの小説を全て殺しにかかってきたような恐れ多い作品でした
小説は
Q&A以前とQ&A以降によって区切られるような形で人々は認識するようになりますし
極論をすればQ&A以前の小説はただの物語かただの物語を小説だと信じる猿によって持ち上げられた幻想のようなインクのシミみたいなものです
Q&Aという作品は私たちを混乱させ恐れを感じさせそして、いくつもの罠を巡らされた作品になっていますので
今まで小説っぽい何かを読んで十分満足していた人にこそオススメしたい作品です